木曜日の雨と月

くらしを愛する


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自分のために花を買った。

ここ数日、ずっと気分が塞いでいる。

悲しくても不安でもそれでも日常は待ってくれない。

仕事をし、子育てをし、家のことをやる。

学生時代なら投げやりにもなっただろうけれど、今の私はそれでも電車に揺られ、会社に着いたら笑顔で働けるし、家に帰れば子育ても家事も普段通りにやれるのだから、だいぶ大人になったんだと思う。

 

火曜日。、

気を抜くと溜め息が出る。

胸の奥の塊は変わらず重たい。

仕事の帰り道、花屋さんに向かって長い坂道を歩いた。

扉を開けると店主さんがいつもの素敵な笑顔で出迎えてくれ、他愛もない話をしながら小さな花束を作ってくれた。

素敵な花束。

腕に抱えるとやさしい甘い香り。

色とりどりのどれひとつして同じもののない花たちがひとつの花束となって互いに良さを引き出しあっている。みんな魅力的。

それだけで胸の奥に頑固に居座る塊が少し小さくなった。

リビングの一番いい場所に花たちを飾る。

その瞬間、部屋の中の空気がぐんぐん浄化されていく。

こんなにも花には力があるんだな。

 

自分の弱さを責めたくなる日もある。

自分でいることを投げ出したくなる日もある。

それでも自分を守ってあげられるのは自分だけ。

傷ついた時、その傷に薬を塗り絆創膏を貼ってあげられるのは、本当の意味では自分だけなんだと思う。

この心と身体は私のもの。

 

ひとつとして同じもののない花たちがそっと囁いてくれたような気がする。