そんな私を。
美しいグラーデーションの夕方。
金木犀の甘い香りで、辺りはやわらかくふくよかな空気に満ちている。
今日が暮れていく。
深く深く潜って海の底で眠るような時間を過ごして、すーっと力を抜いて海面から顔を覗かせたら、いつもの日常が鮮やかになっていた。
こんなにやさしいものだったんだなぁ。
探し回った自己肯定感。
本を読み、ネットで探し、情報を貪った。
でも、私は全然お腹いっぱいにならなかった。
むしろ、もっとお腹が空いた。
自己肯定感の低い私を否定して、もっともっと埋めなくてはならないと思うようになった。
しあわせになりたいと思うたびに、"欠けている自分"を突きつけられて、心はどんどん萎縮していった。
深く潜った時間で、私は自分の心と向き合った。
しあわせになりたいのにしあわせを受け取ることを恐れる自分や不幸でいたい自分、育った環境のせいにしたい自分、愛されたい自分とも向き合った。
たくさんたくさん話をしたように思う。
そのうちパズルのピースがはまっていくように、どんどん心の中がスッキリしていった。
自己肯定感が低いとかそんなのって関係なくて、このままの自分でいいじゃないかって。
一生懸命、生まれてきたんだから。
自分の子どもが生まれる時、助産師さんが「お母さんもつらいけど、赤ちゃんも一生懸命生まれてこようとしてるから頑張って」って声をかけられた。
33年前、私もそうやって生まれてきたんだ。
一生懸命、生まれてきたんだよ。
決して平坦ではないでこぼこの曲がりくねった道を今も私は歩いている。
そんな自分を自分だけはずっと愛してあげよう。
他人が見たらどんなにダメかもしれないけれど。