水煙
毎朝、目玉焼きを焼く。
ぷっくりした黄身を割ると黄色いときめきが溢れ出してくる。
それをお気に入りのバターフランスパンにからめて食べる。
日常は楽しいことばかりではなく、実際にはつまづいてへこんだり、悲しくて泣きたくなるようなこともたくさんある。
それでも、そんな日常の中にひとかけらのよろこびを見つけたいし、できることなら自分でそれを生み出したい。
暗闇につかまらないよう、明るい方へと。
日中、バケツをひっくり返したような雨が降った。
その雨が止んで、まるで世界が洗われたようなさっぱりした空気が気持ちよくて。
それまで私は仕事が憂鬱でたまらなくて、でもその空気を吸い込んだ途端、まるで自分まで洗われたような気持ちになった。
自分の心の持ち方ひとつですべては変わる。
少しづつ少しづつ、自分を大切にすることの意味がわかってくる。